「籾のついたお米を精米して欲しいのですが・・・」
月に何回かあります。
とりあえずの回答は、
「残念ですが、できません」
まず、米屋は、籾摺り(もみすり)をしません。
それは、生産者の仕事です。
田んぼの刈り取り作業で脱穀まで
それから、乾燥機で乾燥、その後、籾摺りとなります。
米屋は、そうして出来た玄米を仕入れます。
適切な保管と精米こそが米屋の仕事です。
では、何故、農家さんが親戚縁者に籾状態で、
お米をあげるのか?
それは、
「籾保存のほうが、品質劣化を防げる」
と思っているからです。
確かに、
「籾保存は玄米保存より良い」
のは、業界の常識です。
ただし、それはあくまで、常温で保存している場合。
現在は、流通段階で、低温倉庫が使われます。
勿論、すべての段階、すべての業者が低温倉庫を持っているわけでありませんが、意識のある生産者・米屋ならかなりの率で保有しています。
この場合、
低温倉庫保管の玄米は、
生産者の常温の納屋に保管されている籾状態のお米より
鮮度保持は優れています。
ましてや、
生産者で梅雨を過ぎた籾を
消費者のご家庭でそこから半年さらに保管、
などという最悪状況を考えると、
玄米の鮮度劣化とは、
水分の低下と脂肪の酸化です。
籾は? 同じことです。
籾殻で保護されているから、若干スピードが遅いだけです。
それが、低温倉庫保管により、
昔とは比較にならないほどの品質保持が可能になった今、
生産者での常温籾保管の意味が低下してしまったわけです。
生産者の皆様にお願いです。
消費地には、籾摺り機械がありません。
必ず、玄米か白米にしてから、
ご親戚には送ってください。
※
1.米屋でも簡易籾摺り機を持っているところがあります。インペラ籾摺り機というものです。少量でも出来るところがミソですが、玄米に傷がつきやすく、その後の品質劣化を招きます。
2.籾から精米できる精米機もあります。主に生産者が保有しています。東京では、瑞穂町のジョイフル本田にあるそうです。なお、実際に利用してみた方の印象ですと、「精米品質は劣る」だそうです。がりがりと籾摺りをしながらの精米は、どうしても米肌を傷つけてしまうのだと想像します。