「もっとお米を愉しむ 米すたいる」 Vol.25/2016年9月号より転載
私がごはん食をすすめる理由 23 歯科医師 鈴木公子
子供のおやつは、おにぎりが一番
子供に大切なおやつの意味
前回は、ご飯を食べない人たちが増えてきて、その悪影響についてお話ししましたが、今回は、子供のおやつについてお話しします。
おやつ(間食)は、3回の食事の問に食べる食事です。つまり、おやつ=お菓子ではありません。子供は成長期に多くの力ロリーを必要としますが、胃が小さいために3回の食事だけでは力ロリーが足りません。それを補うために食べるのが間食(おやつ)です。成長期の子供にとって最も優れた栄養素はデンプン(炭水化物の一種)です。デンプンと水で子供は育ちますので、デンプンをしっかり食べさせないと,果糖や砂糖といった糖質を食べすぎることになり、危険です。
私が考える最も優れたおやつは“おにぎり”と水やお茶です。実は私の娘は小学6年生になるまでおやつはおにぎりだと信じていました(笑)毎朝残りご飯で、具材や形やトッピンクを変えて握っておきます。友達が遊びに来るときは、多めに握って手作りの漬物と置いておくと、みんな大喜びで食べてくれました。子供は、おなかがすいているときにはおにぎりが一番だと本能で分かっているのです。
大人の考えを押し付けないで
3度の主食がご飯だから、せめておやつくらいお菓子をあげたいと考えるのは大人の考えです。大人がおやつを食べるときは、おなかを満たすためではなくて、心を満たすために砂糖を食べたいのですから。たまに、その考えの延長で、子育てに一生懸命なお母さんが、手作りおやつとしてオーガニックの小麦粉に黒砂糖や低温殺菌牛乳、有精卵などを使ってクッキーやパンを作って子供に与えますが、結果として、お子さんを虫歯だらけにしてしまいます。添加物だらけのお菓子よりは良いかもしれませんが、おにぎりに比べたら、健康的なおやつとは言えません。
パンやクッキーは粉に砂糖や油を加えて作りますので、歯にくっついて歯垢を形成しやすく、目も当てられないような虫歯で来院されるお子さんがたくさんいらっしゃいます。そのお母さんの反応は皆さん一緒です。「え~つ?手作りおやつなのにダメなんですか?」
都会の有名幼稚園では、毎日のおやつが日替わりのおにぎりという所もあります。例えば、月曜日は梅干しおにぎり、火曜日は昆布の佃煮おにぎり、水曜日は焼きおにぎり‥・というメニューです。それでも、子供たちは、とても美味しそうに食べています。
子供のころ、学校から帰り、味噌がめに手を突っ込み、そのまま冷ご飯で大きなおにぎりを作り、手をなめながら食べたおにぎりの美味しかったこと。おにぎりこそは、日本が誇る最高のファストフードなのです。
鈴木公子 ひまわり歯科医院院長
1959年新潟県の刈羽村の農家に生まれる。
小学6年で心臓病を発病、その後、体調の悪い学生時代を経て、20歳以降、心臓病は悪化し、子宮内膜症(ダグラス裔腫癌)、アトピー性皮膚炎を次々と発症。多くの治療を受けるが完治せず、薬漬けの学生時代を過ごし、日本歯科大学新潟歯学部を卒業と同時に、入院。
その後、長岡市の関歯科医院(関正一郎先生)に勤務。そこで食事療法に出逢い、病気を次々と克服し、「食」の大切さに目覚め、1986年にひまわり歯科医院開業。講演活動、テレビ・ラジオ出演を続ける。
その後も、両眼失明、心臓発作や糖尿病発病に見舞われるが、その度に食事療法で緩解し、その体験を元に、日々の診療や講演を通して、食の大切さを伝えている。
主な著書
「給食のちから」 風涛社 幕内秀夫氏との共著
「きれいに死にたい」風涛社
「医者は口を診ない歯医者は口しか診ない」医薬経済社