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「お米と日本の歴史その2」天地米店小澤量のHave a Rice Day! ラジオフチューズ2019/09/17

投稿日:2019年9月17日 更新日:

今日のテーマは、引き続き、お米と日本の歴史です。

 またまた、歴史の授業で習った単語がいっぱい出てきます。

 まず、西暦645年、「むしごめさわぐ」大化の改新。どんな事件だったか、覚えていますか?

 中大兄皇子(のちの天智天皇)と藤原鎌足が、天皇家をしのぐ勢いの蘇我一族を討って、天皇を中心とする律令政治を始めた、簡単に言うと、そんな事件です。律令政治を一言であらわせば、中央集権により、すべての人民と土地を国有にします。そして、班田収授法という制度のもとに、土地つまり田んぼを六歳以上の男女に口分田として配分し、租庸調を課すというものです。

 租とは、租税の租、基本、米ですね。

 庸は、軍役。

 調は、絹や布などの提出。

 こういう義務です。

 土地は、全て天の物で、私有地はありません。ちなみに、中国では今も、私有地は認められません。律令国家のままなんですね。

 とにかく、律令国家の基本は、戸籍にもとづき田んぼを割り当て、米を租税として供出させることです。

 米を租税として供出させることは、明治維新で租税をお金で支払わせるという国家原則の大変革まで、そのままでした。田んぼが、お米が、財政基盤の根幹をなし、その規模の大小が、経済力・軍事力など、全ての比較の基準ということが、奈良時代から江戸時代まで続きました。中心は、とにかく、お米でした。

 さて、せっかく中央集権にしたのに、徐々に崩れていきます。租庸調の負担が厳しく、農民が逃亡します。浮浪人と言います。ひどいときには、五人に一人が浮浪人になったと言われています。

 そこで、朝廷では、723年に「三世一身法」(さんぜいっしんのほう)を出しましたが,農民の逃亡はおさまらず,ついに743年に「墾田永年私財法」(こんでんえいねんしざいほう)を出しました。

 三世一身法とは、新しく開墾した土地は親子孫の3代までは自分の土地にして良いという法律.4代めには返さなくてはなりません。
 墾田永年私財法とは、新しく開墾した土地は完全に私有化して良いという法律.初めの頃は身分により限度が決められていましたが,奈良時代の終わりには限度は無くなってしまいました.

 要するに、私有地を認めてしまったわけです。ただ、課税の義務はそのままです。

 私有地は認めながらも、その後も班田収受にもとづく口分田という制度は続きましたが、平安期の902年を最後に大きく変質して、戸籍ではなくて、土地をベースに課税する形になっていきます。まともな戸籍が作れなくなってしまっていたんですね。

 班田収授法崩壊の直接の原因が荘園です。当初は、有力な寺社が開発したものが荘園でしたが、平安期の中頃から、地方で力をつけてきた武士がどんどん新田を作ります。武士と言っても、平家や源氏という血筋の者ではありません。ほとんどの武士の実態は、どこの馬の骨とも言えない、開拓農民の親分ですが、口分田を捨てた浮浪人を使って新田開発をします。

 ただ、租税の負担がとにかく重い。この頃は、中央政府ではなくて、各くに、例えば武蔵の国とかの国司が管理徴収していましたが、各地で国司の横暴がありました。この負担を少しでも少なくするために、私有地の田んぼを寺社や貴族に荘園として寄進してしまいます。荘園になれば、多少の寄付をするだけで、国司の横暴を避けられるんです。

 不輸ふゆ・不入ふにゅう、という権利があり、免税と役人の立ち入りを拒否できたんです。

 でも、田んぼの所有権を渡してしまうために、自分が汗水流して作った田んぼをめぐって、一族家族の中でもめたり、最悪は、失ってしまったりという非常に不安定なことになってしまいました。

 武士たちは、この不安定な所有関係を解消して、自分が作った田んぼは自分のものという原則の政治経済体制を渇望します。

 そうです、源頼朝による鎌倉幕府、最初の武家政権こそが、この政治体制です。でも、鎌倉幕府の前には、武家の平家が政権を担当していました。何が違ったのでしょうか?

 源平合戦は、源氏と平家という武家同士の戦いのように見えます。しかし、中身をよく見れば、違います。

 平家は武士なのに公家化してしまい、地方武士の希望を全くかえりみないで、自分たちの荘園を肥大化させ、以前の藤原家の代わりになってしまっていました。武家の棟梁という立場なのに、だめだめな律令政治にどっぷりつかった存在でした。

 実態のなくなった律令貴族政治というフィクションと、田んぼ所有をベースにした農民上がりの武家政権というリアルな政治の戦いだったと言えます。

 一生懸命、という言葉があります。本当は、「一所懸命」です。一つの所に命を懸ける。それが、本当の語源です。

 鎌倉幕府を支えた武装農民の気持ち、自分が作った田んぼを自分のものとする、それを認めて保証してくれる人を応援する、そのためなら、命を懸けて戦う。一所懸命です!

 今日のお話は、奈良から鎌倉時代ですが、その流れを規定したのは、お米・田んぼです。  

 今日はここまです。

 皆さん、お米について知りたい聞きたいことがあれば、何でも結構です。是非、ラジオフチューズまでメールをお寄せください。

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