今日は、無洗米のPRについてお話します。
実は、無洗米のPRは、大分おとなしくなっています。当初は、かなり大げさなPRが目立ちました。しかし、色々な批判を受けて、あまり独りよがりな主張はしなくなったようです。
ただ、おりにふれ、マスコミで取り上げられるときに、あれあれまたか、と思うようなことを言ったり、書いたりしていますので、無洗米がブームになったころに、どのような主張があったのか、あらためて紹介します。
特に、全国無洗米協会というところが、PRの中心となっていましたので、当時のHPでの主張をお話します。
ちなみに、全国無洗米協会と聞くと、あらゆる無洗米関係者が集う団体のように思えますが、全然違います。
先回お話した、BG無洗米の製造プラントのメーカー、東洋精米機だけが、この協会に参加するメーカーです。あとは、BG無洗米を取り扱う業者だけです。変な感じですね。この辺は、今日の主題ではありませんので、詳しく知りたい方は、メールください。業界裏話です。
さて、話をPRに戻します。
いくつかあります。
一番声高に叫んでいたのが、そして、今でも唱えていたのが、環境改善につながる製品だということです。
お米を研ぐと、お米についていたヌカが下水に流れます。このヌカには、窒素とリンが含まれています。
河川や海に流れ出た窒素やリンは、水を汚します。赤潮や青潮です。昔、瀬戸内海や一部の湖で、海面や湖面が真っ赤になって、魚が死んでぷかぷか浮かんでいる、そんなニュースを見ました。
このような水質の状況は、富栄養化といいます。栄養がありすぎて、プランクトンが大量に発生します。それが水中の酸素を消費してしまい、水中が酸欠になり、生き物が死んでしまうのです。
この富栄養化は、窒素とリンが原因です。窒素とリンは、現在の高度な下水処理でもとりきれずに、川から海に流れてしまいます。
そして、お米のヌカには、窒素とリンが含まれていますので、研ぎ汁が富栄養化の原因で、これを事前に取っておけば、水質の汚染が防げる、こういう理屈です。
無洗米PRの前面に出ていた機械の開発者は、
「昔、新婚旅行で瀬戸内海を渡っていたときは、あれだけ綺麗だった海が、最近、とても汚れていた。犯人はヌカだ、とぴんと来た」というような言い回しで、マスコミに何度も登場していました。
この理屈は、ちょっときつい言い方になりますが、噴飯ものです。が、それは、次回の検証のときにお話しします。
次の主張は、美味しくなる、そして、栄養が豊富というものです。
お米の美味しさには、いくつかの要素がありますが、その一つが、精米したお米の表面の薄い層、糊粉層と言いますが、ここが美味しさの秘訣の一つなんです。
お米は、表面をヌカの層が覆っています。ヌカを取ると、胚乳だけになるというイメージです。胚乳は、でんぷんがほとんで、タンパク質が7%くらい。あとは、微量な栄養成分です。その微量な栄養成分が含まれているのが、ヌカの層と胚乳の間の薄い薄い部分、糊粉層です。この糊粉層がどのように出来ているかが、美味しさのポイントです。
精米が甘いと、糊粉層にヌカの層がかぶってしまいます。精米をし過ぎると糊粉層が削れてしまいます。
無洗米の主張はこうです。
普通に研ぐと、研ぎすぎてこの糊粉層に含まれている美味しい部分を削ってしまったり、逆に研ぎが足りずに、ヌカを落としそこなったりするが、無洗米なら、その心配がなく、ヌカ臭くならずに美味しいお米を食べられるというものです。
さらに、無洗米は研がずに済むので、お米の大事な栄養を削り取らずに残すことができるとも主張します。
これも、次回以降に、しっかり反論していきたいと思います。
最後に、もう一つの主張を紹介します。
BG無洗米は、農業の現場にも貢献するという話です。
BG無洗米では、ヌカでヌカをとると言われています。精米が終わると、そのヌカだけが余ります。普通の精米では、精米途中で発生したヌカは、ヌカの業者に持ち込まれます。色々な用途があるからです。
でも、BG無洗米のヌカは、なぜかヌカの業者に持ち込まれません。代わりに、最後に残ったヌカを処理して、農業で使える肥料にしています。これもメリットの一つだと主張しています。
以上、三つのメリットを紹介しました。
一つ、海や川、湖などの環境改善、具体的には水質の汚染をよくすることができる、というもの。
一つ。美味しくて、栄養豊富だということ。
一つ、農業の生産にも寄与できるということ。
次回以降で、以上のメリットを一つずつ、ゆっくり検証して、反論していきたいと思います。
今日はここまでです。