新玄とは?
「新玄」という商品があります。ハウス食品の製品です(昔は、武田食品工業が作っていましたが、ハウスが会社ごと買い取りました)。
強化米です。何を強化しているか?
ビタミンB群と鉄です。
鉄は置いておきます。ビタミンB群に焦点を合わせます。
さて、ビタミンB群とは何?
食べたものをエネルギーに変える際に必要な補酵素です。
ビタミンB群の役割
以下の図を見てください。
(出典:大塚製薬 https://www.otsuka.co.jp/nutraceutical/about/nutrition/sports-nutrition/essential-nutrients/vitaminbcomplex.html)
エネルギーとは、特に運動に必要なだけではありません。
全ての生命活動に必要です。
寝ていても、息をしているだけでも、体中は動いていて働いていて、エネルギーを使っています。
それは、全て食べ物から作られます。三大栄養素、糖質・脂質・タンパク質ですね。
上記の図からわかるように、そのエネルギーを作るためには、ビタミンB群が必要です。
いくらエネルギーの元となる栄養素を摂取しても、ビタミンB群がなければ、宝の持ち腐れ、どころではありません。
ビタミンB群が不足すると
病気になります。へたしたら、死に至ります。脚気です。
「ビタミンB1が欠乏すると、まずはイライラ、倦怠感、食欲の低下などの症状が表れます。また末梢神経や中枢神経に異常が生じ、手や足の先に痛みやしびれが出るようになります。さらに進行すると筋力が衰え、感覚障害が出て歩行が不自由になります。また膝下をたたくと足が跳ね上がる膝蓋腱反射がなくなり、反応しなくなります。重症化すると同時に心臓機能が低下し、心拍数の増加、手足のむくみ、胸水がたまるなどの症状が表れます。急に心筋虚脱を生じる脚気衝心(かっけしょうしん)が出ることもあり、最悪の場合は心不全により死に至ります。」
(出典:https://doctorsfile.jp/medication/438/)
歴史的なお話
江戸時代、徳川将軍も数代脚気で亡くなったと言われています。精白米ばかり食べて、ビタミンB群が不足していたからです。参勤交代で江戸詰めになった各藩の藩士も脚気になりました。藩に帰ると治ったことから、「江戸患い」と呼ばれました。江戸ではきれいに精米した精白米ばかり食べて脚気になり、藩に帰ると分搗き米になるので、自然にビタミンB群が摂取できていたのです。
ちなみに、豚を食べることで大奥では「豚一」(豚を食べる一ツ橋家出身)と呼ばれて嫌われていてた最後の徳川将軍、徳川慶喜は、脚気とは無縁でした。豚にはビタミンB群が含まれているからです。
さらには、日本帝国陸軍も脚気に悩まされました。戦死よりも、脚気による戦病死が多かったとも言われています。かつての日本軍では、戦時中に一日に白米六合が支給されていました。おかずはろくなものがなかったでしょう。でも、田舎では麦やら雑穀やらを混ぜて食べていたのに、軍隊に入ると白米(銀シャリ)が食べられると、兵隊は大変喜んだと言われています。
海軍は、経験から洋食に切り替えたので、陸軍ほど被害は出なかった、陸軍は、軍医の森鴎外がそれまでの食事を続けたので、被害が大きかったとも言われています。
帝国陸軍の詳しい話は、こちら(軍医森林太郎と脚気)をご参照ください。
肉食が禁じられていた時代の日本人、今でいう分搗き米をもっぱら食べていました(江戸時代の大都市は除く)。今のような綺麗な精白米にはならず、ヌカの層が残った状態だったでしょう。
さすがに玄米並の栄養とはいきませんが、それでも、食べていた量は、一日四合とかです。勿論、大麦や雑穀入りですが。重量では、1.35kgにもなります。
そして、糠漬けの漬物があります。ここからも摂取。さらに、野菜や果物も多少は含んでいます。
それでそこそこ足りていたのが、日本人全員が普通に精白米を食べるようになってきた明治時代から脚気が全国民にも増えてきた。
当時は、ビタミンという概念もなく(1910年東京帝国大学農科大学(現在の東京大学農学部)農芸化学者・鈴木梅太郎博士が、米糠から脚気に効く物質ビタミンB1を取り出すことに成功したことが最初のビタミン発見)、上述したような帝国陸軍の悲劇にもつながってしまいました。
摂取量
現代、豚肉摂取が当たり前なので、昔のように多数の国民が脚気になるほどビタミンB群が足りないことはないのでしょうが、実際の摂取量は、全世代で不足していると言われています。
上記の図の出典元:疲れの対処法~食事とビタミン編:ビタミンと疲れの関係|そうだったのか!疲労対処のコツ|がんばるあなたに。疲れの情報局|アリナミン
エネルギーを作るのに、ビタミンB群が必要と書きましたが、さらにアルコールを分解するにもビタミンB群(ビタミンB1とナイアシン)が使われます。また、運動をすれば、さらに消費されます。
また、スポーツドリンクを大量に飲むと、その消化でビタミンB1が消費されるそうです。
元々足りないのに、エネルギー産生に使われるべきビタミンが他のことで消費されてしまいます。なので、食事やサプリでビタミンB群を補給する必要があります。
新玄の栄養成分
以下は、新玄入り白米、玄米、白米の栄養素比較です。
上記の図の出典:栄養強化米公式ブランドサイト | ハウスウェルネスフーズ
「新玄」は、玄米がもつ各種ミネラル(亜鉛とかマグネシウム)はありませんが、ビタミンB群が玄米並み、特にビタミンB1に関しては、倍含まれています。
5kgの白米に25g混ぜるだけで、玄米並みのビタミンB群が補給できます。
新玄、実際のビタミン摂取量は?
まず、玄米ご飯を食べたときを基準に考えます。
玄米ご飯450g、炊飯前の状態だと200g、約1.3合。
イメージは、毎食玄米ご飯150gを一膳ずつ食べる。
すると、以下のようになります。
一日必要量のかなりの率になります。
すでに、新玄入りの白米で、玄米並かそれ以上のビタミンB群摂取になることを示しました。
つまり、新玄入りの白米を一日に450g食べるだけで、上の図と同じか、それ以上(ビタミンB1なら倍)のビタミンB群摂取になるわけです。
ここに、豚肉や糠漬け、また他のお野菜・果物でさらにビタミンB群を補えばいい、こうなります。
新玄、そのメリット・使い勝手は
- まずは、そのコスパです。上述のような栄養を含んでいて、白米5kg用で162円。
- 色は黄色。ビタミンB2の色です。炊飯すると、すっかり抜けてしまいます。
- 味も匂いもなし。美味しいお米の味をそのままで。
摂取量の制限は?
通常の食事から摂取できる量の範囲もそれほどでないでしょうし、そもそも、水溶性のビタミンなので、体内に留めおくこともできないので、まず問題ないと思われますが、簡単に大量の栄養素が摂取できるサプリだと、以下のようなこともあるようです。
「サプリメントなどからの1日10g程度20日間にわたり大量摂取をすると頭痛、いらだちなどや、かゆみなどの皮ふ症状が報告されています。」(栄養成分ナビゲーター)