こだわりの玄米

厳選された玄米をこだわりの低温精米で仕上げます!

五ツ星・三ツ星マイスターとお好みのお米を探しましょう。

お米にこだわるとは?

米屋は、自分でお米を作っておらずに、農家さんに作っていただいたお米を販売する立場です。そんな米屋の一軒として、当店の取り扱うお米(玄米)に関する思いは、
  • 出来るだけ日本の多くの産地から
  • 出来るだけ多くの品種を
  • 環境のことを考慮する生産者から
仕入れて販売することです。もっとも、日々新しい情報で勉強することばかりですが。

米屋としておいしいお米をお客様に召し上がっていただきたい、という思いは基本的なものです。おいしいお米を探して、お客様に紹介し、「おいしかったよ」と言っていただければ、それが至福の瞬間です。そう思って毎日を過ごしてきました。これからも、それは変わりません。しかし、1993年産の米不足の時に色々と考えさせられました。


マスコミに煽られました。外国産米の入荷が遅れて、パニックにもなりました。それを差し引いても、あの時の行政・マスコミ・生産者・流通業者・消費者、皆が異常でした。本当に、人間の嫌な部分を毎日見ることになりました。

逆に、本当に良くしていただいた生産者や、当店の説明をご理解いただき、
「皆で我慢しなきゃね」「戦争中のことを思えば」
とおっしゃっていただいた多くのお客様もいました。

「情けは人のためならず」(人に情けをかけると、世の中回りまわっていつか自分に還ってくる、だから、人にかける情けは人のためではない、自分のためだ)、こう感じて行動される生産者・消費者も多くおられることを実感しました。


また、丁度その頃、多摩川の水質改善運動に関係して、水環境のことを調べていました。自分の住む地域に流れる多摩川にサクラマスが帰ってくる日が来ないかと思い、様々な面から水環境を知ることができました。そこでわかったことは、米作りがいかに日本の歴史(つまりは、国つくり、山林・河川管理、国土(平野部)建設)を支えてきたのか、そして、私達の飲み水が、そうした米作りと米を作ってきた農家さんの1000年以上の苦労によってもたらされているのか、ということでした(このあたりのことは、「お米雑学」にも書きたいと思っております)。お米を扱いながら、利益の源泉という以外の物の見方を知らなかったことは恥ずかしいかぎりでした。


また、水質問題は非常に重要な環境問題です。複雑な歴史的・構造的要因が絡まりあい、一朝一夕には解決できません。東京湾や霞ヶ浦のような閉鎖的な水域の汚染を解決するには、河川上流の森林から、河川流域の農地、生活者の排水、すべてを視野に入れなければなりません。農地がしっかりしていた時代は、山林の管理も良好でした。山林が良好な時代は、近海漁業も盛んでした。水質汚染の問題もありませんでした。こういう「皮膚感覚」を失っていた自分にも気づきました。

お米の研ぎ汁が環境汚染の元凶などという、「無洗米推進派」の巧妙だが浅薄な理屈が、いかに現実的でないかがわかったのも、こういう知識(本来は常識であって欲しいが)のおかげです(「無洗米考」参照)。


閑話休題、米屋は、仕入れた玄米をむいて白米にしてお届けすることしかできません。「美味しいか、美味しくないか」、「儲かったか、儲からなかったか」、それだけになりがちです。しかし、お米をめぐる歴史なしには、私達の多くが何ら心配することもなく住居を構えている「平野」、飲んでいる「水」、すべて存在していないかもしれないわけです。

それを自分自身が知り、そして一方であまり世間一般では理解されていないことを思えば、お米が自分の商売のネタであるだけではなく、自分の商売が何かの役に立つことはないのかという思いにとらわれます。だからと言って、一介の米屋に何が出来るのでしょうか?


とどのつまり、米屋としての自分に出来ることは、
  1. 自然環境の保全につながる循環的な農法の農家さんを探し
  2. 自分の消費行動が将来の自然環境の良し悪しに関係することを理解される消費者に召し上がっていただき
  3. 結果として、将来世代に、国産農産物を提供する農業の生産性を保障する
ことしかないのではないか、という気持ちです。大上段な物言いですが、その一助にでもなればという思いです。

勿論、毎日口にするものですから、美味しいことはとても大事な要素です。食べるのがつらいのでは、どんなに理念が立派でも、長続きしません。その点、循環的な農法による生産物は、どうなのでしょうか?

循環的な農法と言っても、わかりにくいかもしれません。今までの(慣行的な)化学肥料と化学農薬に頼る農法ではなくて、稲わらや籾  殻(もみがら) 、米ヌカや堆肥など、その田畑(もしくは地域)から取れた生産物をゴミにすることなく土に戻して、土壌の栄養を補給すると、それらの投入物を土に変える(有機物を無機化する)微生物群が豊富になり、微生物群が食物連鎖の基礎として、土壌の生態系が豊かになる。ミミズが増え、虫が増え、小動物・鳥が増えます。このように生態系が豊かになると、病気や害虫の大量発生が抑えられるのです。

慣行栽培では、病気や虫を対処療法的に退治してきましたが、土の健康が損なわれ、地域の生態系も貧弱になっていきました。退治しても退治しても、新しい問題が起きるのです。それだけではなく、過剰に投与した化学肥料の窒素分(硝酸性窒素)が地下に染み込み、 河川・飲料水の汚染すら招いています。人間の体や政治・経済にもあてはまるような気がします。

平成16年4月から今までの無農薬栽培・減農薬栽培による農産物は、「特別栽培農産物」と呼ばれることになりました。「特別栽培米」は、それ自体が食味向上を約束するものではありませんが、自分の経験では、粒がしっかりしていて、甘みがあり、ピンキリの差が少ない物が多いです。また、お米の生産者やそのグループがはっきりしていて、何か問題があっても、直接伝えることが出来て、さらにその解決や改善に向けての話も出来ます。それが、翌年以降の米作りを良くするきっかけにもなります。