コシヒカリ 無農薬栽培 千葉県山武市古谷さん
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令和六年産 千葉県コシヒカリ
山武市 古谷さん
(無農薬・無化学肥料栽培)
誕生:1956年
親品種:農林22号/農林1号
開発地:福井農業試験場
千葉県山武市の古谷さんは、室町時代から600年17代続く篤農家です(化学肥料を使用したことがない)。
古谷さんの田んぼでは、例年アイガモを利用した無農薬栽培をしていました。ただし、平成23年以降、鳥インフルエンザの影響でアイガモを利用することを中止して、米ヌカを利用した除草に変更しました。
米ヌカ除草とは、ペレット(粒)状に加工した米ぬかを田んぼにまくことで雑草を抑える技術です。
- 水が濁り太陽光が遮断される
- 米ヌカが発酵する過程で熱を出す
- 同時に、発酵で土中の酸素を奪い、酸欠状態を作る
- 土がとろとろになることで発芽した雑草が根付かない
お隣の田んぼと比べると、なにより生態系が多様です。メダカやヤゴ、カエルなど生き物の宝庫です。小さな動物ほど、無農薬の田んぼの意味がわかっているようでした。
『コシヒカリ』系譜と古谷さんのお米
現在、日本で作られるお米の約四割を占めるコシヒカリ。その道のりは以下のようなものです。
元々、コシヒカリの開発は、1944年(昭和19年)、新潟で始まっていました。戦後、北陸の開発品種は全て福井県農業試験場に集められたので、1956年福井県で誕生しました。
最初「越南17号」という系統名でしたが、北陸の昔の国名「越の国」にちなんで、「コシヒカリ」と命名されました。
親品種は、いもち病に強い農林22号と食味・収量が優れる農林1号。この両親からは、コシヒカリの他にもいくつかの品種があります。全く、性質が異なります。育種の難しさと面白さがわかります。
最初は、あまり良い評判ではありませんでした。食味は良いのですが、病気に弱く倒伏しやすく、栽培しにくかったからです。
誕生県の福井県でも生産が見送られましたが、新潟と千葉だけが採用した結果、コシヒカリは日の目をみました。
その後、時代は量より質、美味しいお米が好まれる時代となり、倒伏を防ぐために肥料を抑えた、良食味のコシヒカリは、ササニシキと並ぶお米の横綱となり、全国的(北海道・青森・岩手・秋田・沖縄を除く)に作られるようになりました。さらに、コシヒカリの子供・孫まで入れると、日本の生産量の7割以上を占めるほどの、圧倒的な存在です。
日本中で作られるコシヒカリ。しかし、食味・品質はかなりの違いがあります。コシヒカリの子供にシフトしてしまった本場新潟県。大粒で噛みごたえのある山形県。薄味で硬めの関東など。
この古谷さんのコシヒカリは、一体どんなお米?
最初、千葉県の無農薬米と紹介されたときは、全く気乗りがしませんでした。それまで、関東で一番早い、新米の時だけの千葉県産、というイメージを持っていたのと、無農薬栽培も、ずっと懐疑的に考えていたためです。
しかし、実際に、田んぼに足を運び、古谷さんの話を聞き、お米を試食してみると、先入観がいかに頼りにならないかを思い知らされました。
無農薬(当時はアイガモによる)の田んぼに、テグス張りの手伝いに行った際、あまりの生き物の豊富さに驚きました。アイガモは、雑草だけでなくて、小さな虫や魚も食べてしまいます。それでも、たくさんの生き物がいました。隣の普通の田んぼは、青々とした水。一見非常に綺麗ですが、全く生き物がいない。
その後、他の生産者の無農薬田も見学しましたが、「トンボなど、どこに卵を産めばいいか、わかるんだよ」と教えてもらいました。彼らが、農薬に一番弱いんです。お米を食べる人間以上に。
食味も、硬めのあっさり味を予想していましたが、「これが関東!」と思わずうなってしまう、粘りもたっぷり、噛みごたえもしっかり、甘みは十分すぎるほど、というコシヒカリで、自分が先入観で仕事をしていたことを思い知らされ、「知らぬを知る」きっかけになったお米です。