RIO: 2011年11月アーカイブ

岩手県の特別栽培米(減農薬)ひとめぼれでの農薬使用例です。

舌、噛みそうですね!

使用資材名       用途(具体的)  使用回数
========================
イプコナゾール     殺菌(種子消毒) 1回
プロペナゾール     殺菌(葉いもち病予防)1回
ジノテフラン      殺虫(カメムシ防除) 2回
ピラゾスルフロンエチル 除草    1回
オキサジクロメホン   除草    1回
ベンゾビシクロン    除草    1回
ベンタゾン       除草    1回


上記は、農薬に含まれている成分名です。

実際に使用するのは、商品名の付いた農薬です。

昨日紹介した

デラウスプリンス粒剤には、
フィプロニル・ジクロシメット

という成分が

ダブルスターSBには
ピラゾスルフロンエチル・フェントラザミド・ベンゾビシクロン

という成分が、それぞれ含まれています。
とある宮城県登米市での米つくりから。

まず、農薬はどんな目的で使用されるのでしょう?

1.種もみの消毒
2.育苗培土の消毒
3.除草
4.病気対策
5.害虫防除

今年の実際のスケジュールでは、

3月中旬 種もみ消毒 温湯(おんとう)消毒=化学合成農薬使用せず
4月中旬 育苗培土消毒 せず
4月中旬 いもち病初期害虫防除 デラウスプリンス粒剤 2成分 
5月中旬 除草剤散布 ダブルスターSB1kg粒剤 3成分
8月中旬 カメ虫防除 スタークルメイト液剤 1成分

という内容で、合計6成分(6点)。

宮城県の慣行栽培では、農薬点数が16点なので、減農薬になるには8点以下でなければなりません。上記栽培では農薬点数が6点なので、減農薬です。

さらに、化学肥料(窒素成分)も慣行栽培の半減以下だったので、特別栽培米の基準を満たしていて、その中では、「減農薬・減化学肥料」という扱いになります。
先日、無農薬ミルキークィーンを買われたお客様から、

「JAS有機って無農薬?」とご質問。

JAS有機米、有機米、特別栽培米、減農薬米、低農薬米、色々な言い方があり、わかりにくいですよね。

まず、たんなる有機米そして、低農薬米という言い方は現在使用されません。

JAS有機米と特別栽培米だけ。

そして、特別栽培米の中に

●無農薬・無化学肥料
●無農薬・減化学肥料
●減農薬・無化学肥料
●減農薬・減化学肥料

の四種類があります。

JAS有機はちょっと別物なので、特別栽培米。



上の表の中で、節減対象農薬が不使用もしくは五割以下に削減して、化学肥料(窒素成分)が不使用もしくは五割以下に削減して栽培されたものが、特別栽培米という扱いになります。

説明しますと、節減対象農薬とは、お米に使用が認められている化学合成農薬のことです。肥料は窒素以外にもありますが、窒素が一番大きな要素なので、窒素を見ることで化学肥料の使用度を判断しています。

不使用は簡単ですが、問題は、「五割以下に削減」の意味です。

五割以下とは、慣行栽培の半分以下ということです。

慣行栽培ですが、「その地域で認められている化学合成農薬の上限」があり、その範囲で栽培されたことを意味します。
農薬の量は、点数で表示されていて、たとえば、20点の農薬使用が認められているとしたら、農薬使用を10点以下に抑えれば、五割以下に削減になります。

「その地域」と書きましたが、県ごと・地域ごとに(場合によっては品種ごとに)慣行栽培の点数が異なり、場合によっては、ある地域の減農薬でないお米が、別地域の減農薬のお米より農薬使用量が少ないこともありえます。

例えば、山形の慣行栽培の農薬点数は20点ですが、長野では、12点。農薬点数10点の山形米は減農薬ですが、長野の8点は、農薬使用量が少ないのに減農薬ではありません。

あくまで、地域における比較です。

当店の長野飯山コシヒカリなどは、減農薬をうたっておりませんが、農薬点数3点で、実は、無農薬栽培以外のお米で一番農薬使用量が少ないんです。

このあたりは、口頭で説明するしかありませんね。
たまに、
「無洗米」ありませんか?
「無洗米」に出来ませんか?

と聞かれます。

一番、正直に反応してしまいます。

詳しくは、当店の 「無洗米考」をご参照ください。

ほとんどのことは、清濁併せのむ度量を持っているつもりですが、

こと、無洗米のことになると、かっての欺瞞的なPR方法がまた思い起こされ、どんなに、論理的に冷静にと思っていても...


ここでは、いくつか基本的なことを

1)
無洗米も、洗わなくていいレベルに差があり、洗う必要がないレベルのお米は、数億円もする大きなプラント施設でないと作れません。

米屋は、米卸が持っている2~3種の無洗米メニューの中から選んで仕入れるだけで、自分が気に入って仕入れたお米を、この設備で仕上げてもらうことはできません。

米屋の店頭には、ブラシ掛けなどの簡易型設備があり、これは、一回すすいでくださいという、「軽洗米」と呼ぶほうが正確ですね。

2)
ただ、洗わなくていいレベルでも、「一度すすいだ方が美味しい」というのは業界の定説ですので、どっちも同じといっても過言ではないかもしれませんね。

3)
無洗米の定説は、美味しくなくなる、鮮度落ちが早いですね。
美味しさ云々は、業界のプロならまず誰もがそう思っているでしょうね。
言う言わないは、別にして。

ただ、これは、スーパー・生協でメインに売られている、製造段階で水を使用する無洗米についてで、米屋のブラシ・布を利用した軽洗米に関しては、その限りではありません。

鮮度落ちは、国民生活センターの調査で発表されています。

4)
確かに、米研ぎは、冬場、しんどいかもしれませんね。

ただ、最近の精米機はヌカ切れがいいので、
昔の「最後の精米」という感覚の研ぎは不要です。

むしろ、精白度の高い最近のお米、しかも全般的に柔らかい粒が多い最近の品種では、あまり力を入れて研ぐと、表面を傷つけ過ぎたり、最悪は割れてしまいます。

最初は、大量の水で、かきまわして汚れを浮かび上がらせ、早くその汚れた水を捨てて、次に2~3回、洗えば十分です。

店頭精米をしていると、

「あったかい」
「搗きたてで新鮮だから嬉しい」

と言われます。

しかし、温かすぎる精米は害です。

さらに、
「搗きたては新鮮で良いのか?」も疑問が。

これは多少説明が必要です。

1.
精米すれば、酸化が進む。
従って、精米から日が浅いほど、当然間違いなく鮮度は高い。

2.
以前は、精米しても米の表面にヌカがこびりついていて、なおのこと劣化が進むのが早かった。

3.
ただ、最近の精米は、ヌカの切れが良く、そういう意味での劣化スピードは改善している。
(家庭用精米機、生産者の持っている精米機、コイン精米機で、一部または旧式のものは、この限りではないです。)

4.
また、精米したては、熱が加わったせいで、表面だけ乾燥していて、お米にとってあまり好ましい状態ではありません。
このまま、炊飯すると、表面がすぐに水を吸って、中心まで浸透しないうちに炊き上がる、ということもありえる。外がベちゃべちゃで、芯が残ったお米。

実際に、ある米屋さんが、社員の方々で食味比較をした結果、完全に精米の熱を冷ましたお米の方が美味しかったという調査を行っています。

ということで、
すぐには劣化しないし、一日二日して完全に常温に戻ってから、炊飯した方が良いのではと思います。

それと、震災のことを思い出すと、お米が無くなってから買いに行くのは、あまりにも早い「喉元過ぎれば」かと思います。
お客様も色々です。

「どうせ、こんな年齢だから、いまさら、放射能を気にしても」というご年配の方。

「心配で心配で」というご年配の方。

「市販されてるものは安全だと思って生活します」というお子様連れ。

「少しでも少ない物をと思って」というお子様連れ。

同じような情報を受けていても、受け止め方は様々です。

昨日も、個別の放射能検査をじっくり見て、一番、下限値の小さい玄米をお買い上げの方もいらっしゃいました。

でも、その後、お話をすると、やはり、1950年代からの放射能データや、水爆実験のこと、実際の都道府県検査の様子などは、全くご存じない。

難しいですね。

情報の入手先が大手マスコミにしても、ネットにしても、安全と思いたい人は、安全をバックアップする情報ばかり、心配な人は、それを煽るような情報ばかりに目が行っているような気がします。

本当は、自分が感じている方向とは逆のベクトルの情報をあえて探し、自分の中でディベートをさせないと。
当店の店頭精米。

ちょっとというか、非常に面倒くさい(と言ってはいけないですね。当店のウリなのに)。

お米は、精米するときに温度を上げない方がいいんですね。
精米によって温度があがると、不味くなります。

家庭用精米機などで、精米されて出てくるお米を手に取って
「わぁ~、暖かい」
と喜でいるかと思いますが、本当は
「やばい! 熱い」
なんです。

精米しても、もとのお米の温度(穀音)より二十度以内に収めるようにと。

でも、一回で一気に精米してしまうと、かなり温度があがります。
そのために、当店では、まず一台目で、粗精米、二台目で仕上げ精米と回数を増やして穀温の上昇を抑えます。
必要があれば、三回目の精米も。

さらに、その後、小米や砕けたお米を除去して、粒ぞろいを良くします。
そうしないと、炊き上がりを悪くして食味を落としますので。

ということで、

「精米は実は時間がかかります」、しっかりやると。

コイン精米機での精米は、構造上も、何回も通せまんし、
見て判断できるわけでもありませんので、一回通しで仕上げるしかありませんが。

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