久しぶりに、漫画 「美味しんぼ」を読みました。
主人公たちが、震災後に気仙沼を訪問して、旧知の畠山重篤さんを訪ねるという話でした。
津波の大きさ、その被害は知っていたものの、さすがに、本人の口を借りての描写はすごいものでした。
この畠山重篤さんは、「森は海の恋人」運動の発起人。
家業の牡蠣養殖に従事してきた畠山さんですが、養殖の質と量が低下することに悩んでいて、
その原因を、上流の森が荒れ、広葉樹から川を伝って海に流れ出る養分が減少していることに求め、
そして、森・川・海の循環の大切さを実感・実践するため、1989年より気仙沼湾に注ぐ大川上流の室根山で、漁民による広葉樹の植林活動「森は海の恋人」を始めました。
実際、その後の研究で、広葉樹の多い森からの養分には鉄が多く、これがプランクトンから始まる食物連鎖にとって非常に重要なファクターとわかっています。
そして、こういう循環の中で、農業も大事な役割を持っています。
土壌と水の保持です。
富山和子さんの「生きているシリーズ」でわかります。
ここでは、全てがつながっていて、経済学的には見事に外部経済だらけです。
都市部の生活や工業が、否応なく外部不経済の塊である一方で。
もし、外部経済・不経済を数値化できたら、そして不経済は将来へのつけ回しであることを思うと、GDPの数字とは何てくだらない指標なんだろうと気付くはずなんですが。
(ある経済主体の経済活動が、市場を介さずに、他の経済主体の経済活動に及ぼす影響を外部効果といい、それがよい効果である場合は外部経済といい、望ましくない効果である場合は外部不経済という。後者の典型は公害である。
農業の有する多面的機能は、対価が払われることなく、他の主体にプラスの効果を与えるという意味で外部経済効果の性格を有している。出典:
コトバンク - 時事問題、ニュースもわかるネット百科事典 kotobank )
こういうことを知ってしまうと、今回の原発事故を受けて、
「福島での農業は人殺し」だとか
「東北の農産物は捨てろ」だとか
とても悲しくなります。
継続性こそが、本質的な課題であり、全ての日本人が他人事と思わずに、まずは推移を見守って欲しいですね。
どれだけ、作物に放射能が移行するのか、土壌の性質や周囲の環境がどう放射能の移行に影響するのか、これからどのように減っていくのか、
誰もかって(意識して)経験したことのないことなんです。
1950年代からのデータはかなりありますが、ただ、計測されていただけで、ほとんど何の解釈も行われていません。
やってみないとわからない。
問題のある作物の流通にまつわる問題は、別の話です。
もっとも、誰を信用していいのか、は確かに悩むところですね。
以下のサイトにも鉄や森、そして海との関連が書かれています。
北海道の沿海の復活を目指して
環境律市 宇和島 「宇和海に緑をひろげ環境を守る会」
「鉄 広葉樹 プランクトン」で検索してみてください。
畠山さんや富山和子さんの著書は、
当店サイトでも紹介しています。